ポータブル電源は何Wh必要?停電時の家電別・使用時間の早見表【計算例つき】

ポータブル電源の必要容量(Wh)は、「使う機器の消費電力(W)×使う時間(h)」を合計し、変換ロスなどの余裕を見込んで割り戻すことで求められます。この記事では、掛け算だけでできる計算手順と、「半日・通信と照明だけ」「1日・冷蔵庫も守る」といった3つの具体例を、実際の数字で示します。最後に、容量だけでは判断できない「出力(W)」の確認方法と、計算シートも用意しました。

計算が面倒な方の早見表

通信・照明を半日なら500Wh帯(Jackery 500 New)、在宅勤務やテレビも使うなら1,000Wh帯(1000 New)、冷蔵庫まで1日なら2,000Wh帯(2000 New)です。 防災用ポータブル電源のおすすめ6選を見る

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  • WとWhの違いと、必要容量を出す基本式
  • 家電の消費電力の調べ方と目安表
  • 3パターンの計算例(500Wh帯・1,000Wh帯・2,000Wh帯)
  • 定格出力・瞬間最大出力のチェック方法
目次

WとWhの違い

  • W(ワット):機器が動いている瞬間に使う電力の大きさ。家電の銘板や取扱説明書に「消費電力」として書かれています。
  • Wh(ワットアワー):その電力を使い続けた分の電力量。ポータブル電源の「容量」はこの単位で表されます。

たとえば消費電力100Wの機器を1時間使うと100Wh、5時間使うと500Whです。容量(Wh)は「電気を入れておけるタンクの大きさ」、出力(W)は「一度に出せる勢い」と考えると分かりやすくなります。ポータブル電源を選ぶときは、この両方を確認します。

必要容量の基本式

必要な定格容量(Wh)= Σ(機器の消費電力W × 使用時間h)÷ 0.8

必要な定格容量(Wh)=消費電力(W)×使用時間(h)÷0.8必要な定格容量を求める計算式消費電力W使用時間h必要な電力量Wh余裕係数÷0.8必要な定格容量Wh×=→=計算例(4人家族・半日・通信と照明)368Wh ÷ 0.8 = 460Wh → 500Wh帯のポータブル電源が候補
必要な定格容量(Wh)=消費電力(W)×使用時間(h)÷0.8

最後の「÷0.8」は、当サイト編集部が置いている安全側の目安です。ポータブル電源は、直流を交流に変える際の変換ロスや、バッテリー保護の制御のため、表示されている定格容量をそのまま100%使い切れるとは限りません。実際の効率は機種・出力の大きさ・気温で変わり、メーカーも公表の仕方が異なります。ここでは「表示容量の約8割が使える」と仮定して余裕を持たせます。実際に候補にする製品では、メーカー公式の仕様・取扱説明書で確認してください。

家電の消費電力の調べ方と目安

消費電力は、機器本体の銘板(ラベル)や取扱説明書に記載されています。銘板が見つからない場合は、次の目安を参考にしますが、同じ種類の家電でも機種で大きく異なるため、実際の値は必ず確認してください。

機器消費電力の目安出典・注記
スマートフォンの充電約10〜20W(フル充電1回で約20Wh見当)編集部の目安。充電器・機種で異なります。
Wi-FiルーターとONU(合計)約10〜30W編集部の目安。常時通電のため時間が長くなります。
LED照明・ランタン数W〜10W程度編集部の目安。
液晶テレビ(42型)約210W東京電力エナジーパートナー「主な電気機器のアンペアの目安」の想定値(2.1A×100V)
冷蔵庫(450Lクラス)約250W同上(2.5A×100V)。コンプレッサーは間欠運転のため、平均の消費はこれより小さくなります。
インバータエアコン(冷房・10畳用)約580W(立ち上がり時に約1,400W)同上(5.8A、立ち上がり14A)
電子レンジ(30Lクラス)約1,500W同上(15A)
IHジャー炊飯器(5.5合・炊飯時)約1,300W同上(13A)
ヘアードライヤー約1,200W同上(12A)
電気アイロン約1,400W同上(14A)

(出典:東京電力エナジーパートナー「主な電気機器のアンペアの目安」。「100Wで1A」の換算で当編集部がW表記に直しています。あくまで想定値で、実際の値は各機器の取扱説明書などで確認してください。確認日:2026年10月21日)

表のとおり、電子レンジ・炊飯器・ドライヤーなど「熱を出す家電」は消費電力が1,000Wを超えます。容量の小さなポータブル電源では動かせないことが多く、停電時は使わない前提で計画するのが現実的です。優先度の考え方は停電時に優先する家電の決め方で解説しています。

計算例:3つのパターン

以下は考え方を示すための計算例です。機器の数や使う時間を、ご家庭の状況に置き換えて計算してください。

パターンA:半日(12時間)、通信と照明だけ(4人家族)

機器計算電力量
スマートフォン充電(4台×1回)20Wh×480Wh
Wi-FiルーターとONU20W×12h240Wh
LED照明8W×6h48Wh
合計368Wh

368Wh÷0.8=460Wh。必要な定格容量は約460Whとなり、500Wh帯のポータブル電源が候補です。

パターンB:1日(24時間)、通信・照明・テレビ1時間

機器計算電力量
スマートフォン充電(4台×2回)20Wh×8160Wh
Wi-FiルーターとONU20W×24h480Wh
LED照明8W×8h64Wh
液晶テレビ(42型)210W×1h210Wh
合計914Wh

914Wh÷0.8=約1,143Wh。1,000Wh帯(たとえば定格容量1,070Whの製品)では表示容量の8割が約856Whにとどまり、この条件では足りません。2,000Wh帯を選ぶか、テレビや通信の使用時間を減らして調整します。

パターンC:1日(24時間)、通信・照明に冷蔵庫も守る

冷蔵庫は、本体ラベルにある「年間消費電力量(kWh/年)」から1日分を割り出します。たとえば仮に年間300kWhの冷蔵庫なら、300,000Wh÷365日=約822Wh/日です(この数値は計算のための仮定です。ご家庭の冷蔵庫のラベルで確認してください)。

機器計算電力量
スマートフォン充電(4台×2回)20Wh×8160Wh
Wi-FiルーターとONU20W×24h480Wh
LED照明8W×8h64Wh
冷蔵庫(仮に年間300kWh)約822Wh/日822Wh
合計1,526Wh

1,526Wh÷0.8=約1,908Wh。2,000Wh帯(定格容量2,042Whや2,048Whの製品など)が候補になります。なお、冷蔵庫は扉を開けなければ、冷蔵で約4時間、冷凍で約1〜2日の低温が保たれるとされ(農林水産省。気温や食品の量で変わる目安)、電気が使える時間を「毎日ずっと」ではなく「食品を守る時間帯を絞る」運用にすれば、必要容量を小さくできます。(出典:農林水産省「停電や断水、大雨による浸水に遭われた地域の皆様へ」、確認日:2026年10月21日)

3つの計算例の必要電力量と、512Wh・1,070Wh・2,042Whの機種で使える量の比較3つの計算例の必要電力量と、容量帯の「使える量」(表示容量の約8割)A 半日・通信と照明368WhB 1日・+テレビ1時間914WhC 1日・+冷蔵庫(仮定)1,526Wh512Wh帯 約4101,070Wh帯 約8562,042Wh帯 約1,634
3つの計算例の必要電力量と、512Wh・1,070Wh・2,042Whの機種で使える量の比較

容量帯ごとに「何がどれくらい動くか」の早見表

表示容量の8割が使えると仮定した場合の、理論上の使用時間です。実際の時間は機器の状態や気温で変わります。

容量帯(例)使える電力量(×0.8)Wi-Fiルーター(20W)液晶テレビ(210W)冷蔵庫(平均約34W※)
512Wh約410Wh約20時間約2時間約12時間
1,070Wh約856Wh約43時間約4時間約25時間
2,042Wh約1,634Wh約82時間約7.8時間約48時間

※冷蔵庫は、パターンCの仮定(822Wh/日)から算出した平均約34Wで計算しています。各機器を同時に使う場合は、合計の消費電力で割ります。

容量とは別に「出力(W)」を確認する

容量が足りていても、同時に使う機器の合計消費電力が本体の出力を超えると使えません。次の2つを確認します。

  • 定格出力(W):連続して出せる電力の上限。同時に使う機器の消費電力の合計が、これを超えないようにします。
  • 瞬間最大出力(W):モーターを持つ機器(冷蔵庫など)は、起動の瞬間に大きな電力が必要です。短時間だけ定格を超えて出せる上限を指します。

たとえば、パターンBの機器を同時に使う場合の合計は、ルーター20W+照明8W+スマートフォン充電(数台分で約40〜80W)+テレビ210Wで、約280〜320Wです。定格出力300Wの小型機では余裕がなく、500W以上の機種だと安心して使えます。一方で、電子レンジ(約1,500W)やドライヤー(約1,200W)は、定格出力1,500W前後の製品でも、ほかの機器と同時に使うと超過しやすくなります。

購入前チェックリスト

  • 停電時に使いたい機器を洗い出したか
  • 各機器の消費電力を、銘板・取扱説明書で確認したか
  • 使いたい時間(半日・1日など)を決めたか
  • 合計Whを出し、0.8で割って余裕を持たせたか
  • 同時使用の合計Wが、候補製品の定格出力を超えないか
  • 冷蔵庫など、起動電力が大きい機器がある場合は瞬間最大出力も確認したか
  • 候補製品の重量・大きさが、保管場所・持ち運びに合うか

計算ができたら、容量帯ごとの製品を比べます。Jackeryを容量別に比較、Ankerを容量別に比較、そして全体の選び方は災害用電源の選び方にまとめています。

5分でできる必要容量の計算シート

紙や表計算ソフトに「機器名・消費電力W・使う時間h・必要Wh」の4列を作ります。必要WhはW×hで求め、すべての機器を合計したあと0.8で割ります。0.8で割るのは、変換ロスなどを見込み、表示容量を100%使える前提にしないためです。

  1. 停電中に必ず使う機器だけを書き出す。
  2. 本体ラベル、ACアダプター、取扱説明書で消費電力を確認する。
  3. 24時間ずっと使うか、必要な時間だけ使うかを決める。
  4. W×hを機器ごとに計算して合計する。
  5. 合計Wh÷0.8で、選ぶ容量の目安を出す。
  6. 同時に使う機器のW数を合計し、定格出力も確認する。

例として、ルーター20Wを12時間、LED照明10Wを5時間、スマートフォン4台を合計100Wh使うなら、240+50+100=390Whです。390÷0.8=487.5Whなので、500Wh帯が最低ラインです。停電が長引く可能性やバッテリーの経年変化を考えるなら、さらに余裕を持たせます。

消費電力は「最大値」と「実測値」を使い分ける

ACアダプターに書かれたW数は最大入力の場合があり、通常の消費電力と一致しないことがあります。冷蔵庫やモーター機器は運転中と起動時で電力が変わり、パソコンも作業内容で変動します。

  • 安全に起動できるか:取扱説明書やラベルの最大値、起動時電力で定格出力を確認する。
  • 何時間使えるか:ワットチェッカーやポータブル電源の表示で通常時の消費を測る。
  • 冷蔵庫:年間消費電力量から平均Wを計算しつつ、起動時の余裕も別に確認する。
  • パソコン:充電中、会議中、動画処理中など負荷の高い状態でも測る。

一度の測定だけで決めず、数時間使った消費量から平均を確認すると現実に近づきます。測れない場合は、少なめではなく大きめの値で計算してください。

容量が足りないときは、機器ではなく時間を削る

計算結果が予算や運べる重さを超えた場合、必要な機器をすべて諦める必要はありません。ルーターを24時間から12時間へ、テレビを3時間から1時間へ、パソコンを8時間から重要業務の4時間へ減らすと、必要Whを下げられます。

停電時の優先順位は、通信、照明、医療・介護、安全に必要な機器を先にし、娯楽や高出力の調理家電を後にします。残量30%になったら通信と照明だけにするなど、切り替え基準を家族で決めてください。

冷蔵庫を守る場合は、扉の開閉を減らすことも電力配分に影響します。ポータブル電源の容量だけでなく、使い方で必要量を減らす視点が重要です。

夏・冬・在宅勤務で必要容量が変わる

夏

家庭用エアコンをポータブル電源だけで長時間動かすには大きな容量と出力が必要です。小型モデルでは、扇風機、通信、照明へ電力を残し、危険な暑さになる前に避難先を確認します。扇風機30Wを6時間使うだけでも180Wh必要です。

冬

電気ストーブや電気ケトルは消費電力が大きいため、防寒着、毛布、寝袋、使い捨てカイロなど電気を使わない備えを先にします。低温はバッテリー性能にも影響するため、メーカーの使用・充電温度を確認してください。

在宅勤務

ノートパソコン45W、ルーター20W、ONU10Wを8時間使うと600Whです。変換ロスを見込むと750Wh以上が目安で、外部モニターや照明を追加するなら1,000Wh帯に余裕を持たせます。

計算後に確認する3つの現実条件

  1. 運べるか:容量が大きいほど重くなります。保管場所から使用場所まで安全に移動できるか確認します。
  2. 置けるか:直射日光、高温多湿、水濡れを避け、吸排気口をふさがない場所が必要です。
  3. 管理できるか:残量、ケーブル、外観を定期的に点検し、取扱説明書どおりに保管します。

計算上は2,000Whが必要でも、一人で動かせず安全な置き場所もなければ実用的ではありません。その場合は、守る家電や時間を減らす、複数の小型電源へ役割を分ける、電気を使わない備えを増やす方法を検討します。

計算結果をどの容量帯へ切り上げるか

計算結果が製品容量の境目に近い場合は、一段上の容量帯を検討します。たとえば必要量が480Whなら、表示容量500Whの機種では変換ロスを考えると不足します。必要量をすでに0.8で割った結果が480Whなら500Wh帯が候補ですが、翌日の通信分や経年変化を考えると余裕は大きくありません。

  • 計算結果300Wh前後:500Wh帯を検討。通信・照明・スマートフォン中心。
  • 計算結果600〜800Wh:1,000Wh帯を検討。在宅勤務やテレビを含む1日分。
  • 計算結果1,200〜1,600Wh:2,000Wh帯を検討。冷蔵庫と通信・照明を同時に守る用途。

容量の数字だけでなく、定格出力、瞬間最大出力、AC差込口、重さ、保証条件も確認します。容量が足りても、使いたい家電のW数が定格出力を超えれば動かせません。

年に一度は計算をやり直す

家電を買い替える、家族が増える、在宅勤務が始まる、医療・介護機器が必要になるなど、必要電力は変化します。防災用品の点検日に、家電一覧と使用時間を見直してください。

実際の停電や訓練で使った場合は、開始時と終了時の残量、使用した機器、時間を記録します。計算値と実測値の差が分かれば、次回はより正確に電力を配分できます。足りなかったからすぐ大容量へ買い替えるのではなく、使う時間や優先順位の見直しも行います。

よくある質問

Q. 計算したWhぴったりの製品を選べばよいですか?

いいえ。変換ロスや、寿命のためのバッテリー制御があるため、計算値より余裕のある容量帯を選びます。この記事では「÷0.8」で余裕を持たせる方法を紹介しました。

Q. 家族の人数で必要容量は変わりますか?

人数そのものより、動かす機器の数と時間で変わります。スマートフォンの台数や照明の数が増えれば、その分の電力量が増えます。家族構成別の考え方は家族構成から考えるポータブル電源をご覧ください。

Q. 冷蔵庫の消費電力はどう調べますか?

本体の側面や扉の内側にあるラベルの「年間消費電力量(kWh/年)」を365で割ると、1日あたりの目安が分かります。ラベルが見つからない場合は、取扱説明書やメーカーの製品ページを確認してください。

Q. ポータブル電源を2台に分けてもよいですか?

用途を通信・照明用と冷蔵庫用に分ける方法はあります。ただし、合計容量、各機の定格出力、充電方法、管理の手間を確認してください。2台あれば自動的に長く使えるわけではなく、同じ家電へ勝手に並列接続してはいけません。メーカーが認める接続方法だけを使い、取扱説明書にない接続は避けます。

出典(確認日:2026年10月21日)

計算式・目安値は、当サイト編集部が一般的な考え方を整理したものです。実際の効率・出力・保証条件は製品ごとに異なるため、購入前にメーカー公式の仕様・取扱説明書でご確認ください。

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この記事を書いた人

停電時の電源選びを、機器・時間・容量から整理しています。

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