停電がどれくらい続くかは、原因や地域で大きく変わるため、「何時間で復旧する」と断定することはできません。そこでこの記事では、3時間・半日・1日という区切りを「復旧の予測」ではなく「手元の電気をどう配分するかの計画単位」として使います。停電直後にやること、時間帯ごとの電気の使い方、復旧したときの安全確認、そして過去の大規模停電の実例まで、公的機関の情報をもとに順番に整理しました。
備える機種を先に決めたい方へ
停電が半日〜1日に及ぶ場合の備えとして、家族の通信・照明・テレビを守れるJackery 1000 Newがおすすめです。 防災用ポータブル電源のおすすめ6選を見る
- 停電が起きた直後に確認すること(3ステップ)
- 0〜3時間/3〜12時間/12〜24時間/24時間超の電気の使い方
- 過去の大規模停電(北海道2018・房総半島台風2019)の実例
- 復旧時に起きやすい「通電火災」の防ぎ方
停電が起きたら、まず確認する3ステップ
東京電力パワーグリッドの投稿:停電の発生状況は同社の「停電情報」ページで確認できる(確認日:2026年10月21日)
資源エネルギー庁は、停電が起きたときの基本の動きを次のように案内しています。
- 家の中と近所の状況を確認する。家の中の電気がすべて消えていて、近所も同じなら、地域の停電です。近所は電気がついている、または自宅の一部だけが消えている場合は、ブレーカーや屋内設備に原因がある可能性があります。
- 停電情報を確認する。住んでいる地域の一般送配電事業者(電力会社の送配電部門)のホームページ・アプリで、停電地域・発生日時・復旧状況が公開されます。日ごろから、自分の地域の事業者名とサイトを調べておきましょう。
- ブレーカーの状態を確認する。ブレーカーが落ちている場合は、電化製品や電熱器具の上に燃えやすいものがかぶさっていないか、コードが傷んでいないかを確認してから、指定の手順で戻します。手順は各事業者の案内に従ってください。
(出典:資源エネルギー庁「あらためて学ぶ、『停電』の時にすべきこと・すべきでないこと」、確認日:2026年10月21日)
0〜3時間:通信と照明に絞って、残量を把握する
停電の最初の数時間は、情報を得ることと、安全に動けることが最優先です。スマートフォン、携帯ラジオ、照明、連絡に必要なルーターに使う電気を優先し、それ以外の機器は電源を切ります。
- スマートフォンは画面の明るさを下げ、使わないアプリを閉じて、電池を長持ちさせる。
- ポータブル電源やモバイルバッテリーの「残量」を、開始時に確認して記録しておく。
- 不要な機器のコンセントを抜き、復旧時の一斉通電を防ぐ。
この段階は、電池式のランタンとモバイルバッテリーで足りる家庭がほとんどです。ポータブル電源は「あると安心」のレベルです。
3〜12時間:止めたくない機器を個別に計算する
停電が半日近くに及びそうなら、家庭ごとに止めたくない機器を洗い出し、消費電力と使う時間から必要な電力量を計算します。全部を同時に動かす前提にせず、優先順位をつけます。目安の計算は容量計算の記事を使ってください。たとえば、通信・照明・スマートフォン4台分の充電なら、12時間で約370Wh、余裕を見て500Wh帯が候補になります。
冷蔵庫は、扉の開閉をできるだけ減らします。農林水産省は、扉を開けない場合の低温保持時間の目安を冷蔵庫で約4時間、冷凍庫で約1〜2日としています(気温や食品の量で変わります)。傷みやすい肉・魚・惣菜などは、目安の時間を超えたら廃棄する判断が示されています。(出典:農林水産省、確認日:2026年10月21日)
12〜24時間:再充電の手段と、公式情報の更新を確認する
この段階では、電気を使い切らない運用が大切です。優先機器の継続に加えて、次の点を確認します。
- 再充電の手段(車のシガーソケット、ソーラーパネル、ほかの電源)は使えるか。使えない場合は、残りの電力量をどう配分するか。
- 電力会社・自治体の復旧見通しの更新。過去の平均を、今回の停電に当てはめない。
- 電源の状態(本体の発熱・異臭・異音がないか)。異常があれば使用を中止する。詳しくは保管と点検の記事へ。
1日を超える備えをするなら、1,000〜2,000Wh帯が検討範囲に入ります。容量帯ごとの製品は災害用電源の選び方で比べられます。
24時間を超えたら:電源だけで解決しない
政府広報オンラインの投稿:ライフラインが止まったときに備え、家庭の食品備蓄を確認しよう(確認日:2026年10月21日)
停電が1日を超える場合は、電気だけでなく、水・食料・トイレ・情報など、生活全体の備えが問われます。内閣府は、各家庭での備蓄について「最低3日間、できれば一週間」を目安にするよう案内しています(飲料水は一人1日3リットルが目安)。これは食料・飲料水などの備蓄の目安で、停電の復旧時間の目安ではありません。自治体・電力会社の案内、避難の判断とあわせて、総合的に考えます。(出典:内閣府 防災情報のページ、確認日:2026年10月21日)
過去の大規模停電から見る、「長さ」の実際
| 事例 | 規模 | 復旧の様子 |
|---|---|---|
| 2018年9月 北海道胆振東部地震(ブラックアウト) | 最大約295万戸が停電 | 発生から約2日で、約99%が停電から復旧したと資源エネルギー庁が説明。ただし、その後も需給がひっ迫し、家庭・企業に節電が要請されました。 |
| 2019年9月 令和元年房総半島台風(台風15号) | 首都圏を中心に最大約93万4,900戸が停電 | 現場の被害確認や倒木の処理に時間を要し、復旧作業が長期化。通信障害や断水、鉄道の運休にもつながりました(内閣府「防災白書」)。 |
同じ「大規模停電」でも、電力設備全体が停止したケース(北海道)と、電柱や電線の被害が広範囲に及んだケース(房総半島)では、復旧の進み方が異なります。どちらの経験からも、事前に「自分の家庭がどこまで備えるか」を決めておくことの大切さが分かります。(出典:資源エネルギー庁「日本初の“ブラックアウト”、その時一体何が起きたのか」、内閣府「令和2年版 防災白書」)
電気が復旧したとき:通電火災に注意
総務省消防庁の投稿:避難時はブレーカーを落とし、帰宅後は損傷を確認してからブレーカーを戻す(確認日:2026年10月21日)
停電する直前まで使っていた電化製品は、電気が復旧すると急に通電します。地震などで倒れたり傷んだりした機器や、燃えやすいものに接触した電熱器具は、発熱して出火する「通電火災」につながるおそれがあります。
- 避難のため家を離れるときは、必ずブレーカーを切る。
- 復旧後は、機器や配線に損傷がないかを確認し、機器を一台ずつつなぐ。
- 異音・異臭・発熱があれば、すぐに使用を中止する。
- 医療機器の使用可否は、この記事では判断できません。機器メーカーや医療機関、自治体へ確認してください。
停電時間が変わる5つの要因
同じ災害でも、停電時間は地域や設備の被害で大きく変わります。平均値だけで自宅の備えを決めず、次の要因を確認します。
- 被害範囲:一つの建物だけか、地域全体か。
- 原因:設備故障、倒木、浸水、地震、需給ひっ迫など。
- 道路状況:倒木や土砂で復旧作業車が入れるか。
- 設備の位置:山間部、離島、沿岸部など復旧に時間がかかる条件があるか。
- 二次災害:余震、強風、浸水が続き作業できるか。
電力会社が復旧見込みを公表しても、天候や現場状況で変わります。「何時に復旧する」という一つの情報に頼らず、自治体、防災無線、ラジオ、電力会社の更新を確認してください。
自宅の停電リスクを見積もる
過去に停電した回数だけでなく、自宅で電気が止まると困るものを調べます。集合住宅の給水ポンプ、オートロック、エレベーター、機械式駐車場は停電の影響を受ける場合があります。戸建てでも井戸ポンプ、電動シャッター、給湯器など電気が必要な設備があります。
停電が短くても、水が出ない、玄関設備が動かない、通信が止まると生活への影響は大きくなります。管理会社や設備メーカーへ、停電時の動作と復旧方法を平常時に確認してください。
3つの停電シナリオを作る
3時間以内
スマートフォン、LED照明、ラジオを優先し、冷蔵庫は開けないようにします。ポータブル電源をすぐ全家電へつながず、復旧見込みを確認します。
半日
ルーター、照明、スマートフォンの必要Whを計算し、テレビやパソコンは時間を区切ります。夜間の安全と翌朝の連絡分を残します。
24時間以上
冷蔵庫を守るか、通信と照明を守るかを決め直します。給電拠点、避難所、充電できる場所を確認し、移動が必要なら明るいうちに判断します。ポータブル電源だけで数日を乗り切る前提にはしません。
「3日分の備え」は電気だけではない
長期停電では、飲料水、食料、簡易トイレ、薬、現金、衛生用品、暑さ・寒さ対策も必要です。大容量電源を買っても、水や食料がなければ自宅で生活を続けられません。
電気は通信と照明へ優先配分し、調理はカセットコンロ、防寒は毛布、情報は乾電池式ラジオなど、電気を使わない備えと組み合わせます。発電機は屋内、車内、テント内で使わず、安全な屋外設置場所がない家庭では使用しないでください。
復旧後に確認すること
電気が戻っても、すぐすべての家電を同時に動かさないようにします。水濡れ、破損、焦げたにおいがある機器へ通電せず、必要に応じて専門業者へ相談します。避難で自宅を離れる場合は、ブレーカーの扱いを自治体や消防の案内に従って判断してください。
ポータブル電源も、使用後すぐ収納せず、異常な発熱や損傷がないか確認します。残量を記録し、どの機器を何時間使ったかをメモすれば、次回の容量計画を改善できます。
家族で決める切り替え基準
- 停電3時間までは通信と照明だけ。
- 復旧見込みが半日以上ならテレビと調理家電を制限。
- 残量50%で翌日の連絡分を再計算。
- 残量30%で通信、照明、医療・介護に限定。
- 避難情報が出たら電源より避難を優先。
紙に書いて電源の近くへ置けば、スマートフォンの電池が切れても確認できます。
停電情報の確認先と見方
停電情報は、電力会社の停電情報、自治体サイト、防災アプリ、防災無線、ラジオなど複数で確認します。SNSの投稿は現地の様子を知る手掛かりになりますが、投稿日時と場所が違う情報、古い画像、未確認の復旧時刻が混ざることがあります。公式発表と照合してください。
確認するときは「停電戸数」だけでなく、自宅周辺が対象か、復旧見込みが更新された時刻、原因、次の更新予定を見ます。自宅だけ電気が戻らない場合は、ブレーカーや建物設備の問題も考えられるため、無理に触らず管理会社や電力会社へ相談します。
復旧時刻が分からないときの電力予算
残量を停電時間で割り、1時間あたりに使えるWhを決めます。利用可能量800Whで24時間を想定するなら、平均約33Whです。ルーター20Wと照明10Wを同時に使えばほぼ上限になるため、テレビやパソコンは別の時間に使います。
12時間後に残量が半分以上あれば計画どおり、減り方が速ければ使用機器を絞ります。残量表示は目安なので、ゼロまで使い切る計画にはせず、緊急連絡と夜間照明の分を残してください。
自宅待機を続けない判断
停電が長引き、危険な暑さや寒さ、断水、医療・介護機器の電源不足が起きる場合は、電源の残量に関係なく安全な場所へ移動します。避難所や親族宅、給電拠点への移動は、道路状況と自治体の案内を確認し、暗くなる前に判断します。
エレベーター停止で移動が難しい人、在宅医療機器を使う人は、平常時に管理会社、医療機関、自治体へ相談し、停電時の連絡手順と支援方法を決めてください。
年に一度、停電計画を見直す
- 家族人数、在宅勤務、医療・介護の変化
- 家電の買い替えと消費電力
- ポータブル電源とモバイルバッテリーの残量・劣化
- 自治体の避難所、給電拠点、ハザードマップ
- 管理会社や電力会社の連絡先
実際の停電を経験したら、時間、使った機器、消費した残量、困ったことを記録します。次回はその実測をもとに、容量、優先順位、避難判断を改善してください。
結論:3時間・半日・1日で備えを切り替える
停電時間を正確に予測することはできません。そのため、3時間までは通信と照明、半日になれば使用機器の時間制限、1日を超えるなら避難や外部の給電も含める、という段階的な計画が実用的です。
ポータブル電源の容量は、平均的な停電時間ではなく、自宅で止められない機器と使う時間から決めます。通信と照明だけなら小容量、在宅勤務やテレビを一日守るなら1,000Wh帯、冷蔵庫も含めるなら2,000Wh帯が目安になります。
ただし、大容量電源があっても、断水、通信障害、危険な暑さ、浸水は解決できません。電源は防災計画の一部として、水、食料、簡易トイレ、避難先、連絡手段と組み合わせてください。
Q. 復旧見込みより長引いたらどうしますか?
残量と使う機器を再計算し、通信・照明・医療・介護へ絞ります。自治体や電力会社の更新を確認し、充電場所や避難所への移動を検討します。復旧見込みは変更されることがあるため、発表時刻を確認し、一つの情報だけに頼らないでください。
Q. 夜中に停電したら、すぐポータブル電源を使いますか?
まず周囲の安全と停電範囲を確認し、LEDライトとスマートフォンを優先します。冷蔵庫は開けず、テレビや高出力家電をすぐ使わないほうが残量を守れます。原因が水濡れや家電の異常と思われる場合は、無理に通電しません。
よくある質問
Q. 停電は平均どれくらいで復旧しますか?
原因や被害の場所によって大きく違うため、平均を今回の停電に当てはめることはできません。地域の一般送配電事業者が公表する停電情報で、復旧状況を確認してください。
Q. 3時間・半日・1日という区切りは、何を根拠にしていますか?
復旧の予測ではありません。停電の長さが分からない中で、電気を使う順番と量を決めるための、当サイトの計画用の区切りです。
Q. 3日分の電気を備えるべきですか?
内閣府の「最低3日間、できれば一週間」は、食料や飲料水などの備蓄の目安です。電気を3日分備えることまでは求めていません。まず半日〜1日を目安に、必要な機器と容量を計算するのがおすすめです。
Q. 近所は復旧したのに自宅だけ停電しています
建物内の設備やブレーカー、引込線など別の問題が考えられます。水濡れ、焦げたにおい、破損があれば触れず、集合住宅は管理会社、戸建ては電力会社や専門業者へ相談してください。安全を最優先します。原因が分からないまま何度もブレーカーを入れ直さず、復旧後も家電や配線に異常がないか、一つずつ落ち着いて確認し、判断できない場合は管理会社、電力会社、電気工事の専門業者へ相談してください。
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出典(確認日:2026年10月21日)
- 資源エネルギー庁「あらためて学ぶ、『停電』の時にすべきこと・すべきでないこと」 https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/teiden_info.html
- 資源エネルギー庁「日本初の“ブラックアウト”、その時一体何が起きたのか」 https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/blackout.html
- 内閣府「令和2年版 防災白書」 https://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/r02/honbun/0b_1s_01_02.html
- 内閣府 防災情報のページ https://www.bousai.go.jp/kyoiku/hokenkyousai/check.html
- 農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/fs/foodpois_flooding.html