ポータブル電源の必要容量は、家族の人数だけでは決まりません。一人暮らしでも在宅勤務なら大きな容量が必要になり、4人家族でも通信と照明だけなら500Wh前後で足ります。この記事では、世帯のタイプ(一人暮らし・夫婦・4人家族・乳幼児・高齢者・ペット・在宅勤務)ごとに、「何を優先するか」と「容量帯の目安」を、計算の根拠つきで整理しました。数字は目安であり、実際の機器の消費電力で必ず置き換えてください。
世帯別のおすすめ機種
一人暮らし・夫婦の通信と照明はJackery 500 New、4人家族や在宅勤務は1000 New、冷蔵庫まで守るなら2000 Newが目安です。 防災用ポータブル電源のおすすめ6選を見る
- 世帯タイプ別の「容量帯の目安」早見表
- 乳幼児・高齢者・ペットのいる家庭で先に決めること
- 置き場所・持ち運び・再充電の考え方
共通の確認順:人数より「機器と時間」
どの世帯でも、次の順に整理すると、必要な容量が見えてきます。
- 誰が・何のために電気を使うか(人・ペット・仕事)
- 止めたくない機器は何か(消費電力W)
- 何時間使いたいか
- 合計Whを出し、余裕を見て0.8で割る(計算手順)
- 再充電の手段があるか、置き場所・持ち運びに無理がないか
世帯タイプ別の容量帯の目安
次の表は、半日(12時間)を想定した計算例です。スマートフォン1回のフル充電を約20Wh、Wi-FiルーターとONUを20W、LED照明を8W(6時間)とし、必要容量は「合計÷0.8」で計算しています。
| 世帯タイプ | 想定する機器 | 合計の目安 | 必要な定格容量 | 容量帯の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 一人暮らし(スマホと照明のみ) | スマートフォン1台×1回、LED照明6時間 | 約68Wh | 約85Wh | 300Wh帯以下(モバイルバッテリーでも対応可) |
| 一人暮らし(通信も維持) | 上記+Wi-Fiルーター12時間 | 約308Wh | 約385Wh | 500Wh帯 |
| 夫婦・二人 | スマートフォン2台、ルーター、照明 | 約328Wh | 約410Wh | 500Wh帯 |
| 4人家族 | スマートフォン4台、ルーター、照明 | 約368Wh | 約460Wh | 500Wh帯(余裕は小さい) |
| 在宅勤務(8時間) | ノートPC約45W×8h、ルーター20W×8h、スマートフォン1回 | 約540Wh | 約675Wh | 1,000Wh帯 |
ここに冷蔵庫やテレビを加えると、容量帯は一段上がります。たとえば、4人家族が1日(24時間)、通信・照明に冷蔵庫(仮に年間300kWh)を加えると、約1,908Whの定格容量が必要になり、2,000Wh帯が候補です(計算例C)。人数が増えるほど、スマートフォンの台数分だけ電力量は増えますが、最も大きく効くのは、冷蔵庫やパソコンなど消費電力の大きい機器を含めるかどうかです。
乳幼児がいる世帯:電気以外の備えを先に
内閣府の防災情報ページは、持ち出し品として、乳幼児がいる方は哺乳瓶や紙おむつ等をリュックサックに入れて準備しておくよう案内しています。乳幼児のいる家庭では、次のように整理します。
- 電源に頼らない用品(ミルク、哺乳瓶、紙おむつ、水など)を先にそろえる。
- お湯を沸かす電気ケトルなどは消費電力が大きく(1,000Wを超える機種が多い)、ポータブル電源では動かせない場合があります。カセットコンロなど、電気以外の手段も備蓄しておく(内閣府は備蓄品の例としてカセットコンロを挙げています)。
- 室温や健康の維持は、製品で保証されるものではありません。自治体の案内や、避難の判断を優先します。
(出典:内閣府 防災情報のページ「自然災害への備えは万全ですか?」、確認日:2026年10月21日)
高齢者・支援が必要な人がいる世帯
- 常備薬、連絡・避難の支援者、電池で動く情報源(携帯ラジオなど)を確認しておく。
- 医療機器や、医薬品の保冷が必要な場合は、この記事で可否や容量を判断せず、機器メーカー・医療機関・自治体に、平常時のうちに停電時の対応を確認する。
- 家族・親族・支援者と、災害時の連絡方法や集合場所を共有する。内閣府は「171災害用伝言ダイヤル」などのサービスの活用を案内しています。
ペットがいる世帯
ペットの水・フード・常備薬・キャリーは、電源とは別に準備します。暑さ・寒さの管理のために電気を使う場合は、消費電力の大きい機器(冷暖房)は容量・出力の面で負担が大きくなります。健康や安全を電源で保証することはできないため、自治体や獣医師の案内、避難場所・経路の確認を優先してください。
在宅勤務世帯
ノートパソコン、ルーター、ONU、スマートフォンは、銘板や取扱説明書で消費電力を確認して計算します。上の表のとおり、8時間の在宅勤務で約540Whが目安になり、1,000Wh帯が候補です。ただし、停電時は通信回線や基地局の状況によって、電源があっても業務が続けられない場合があります。業務の継続を保証するものではないため、重要な業務は、別の手段(自治体の案内、勤務先との事前取り決め)とあわせて検討しましょう。
置き場所・持ち運び・再充電
- 重さ:容量が大きいほど重くなります。1,000Wh帯で約10〜11kg台、2,000Wh帯で約17〜19kgの機種があります(メーカー公式の仕様の例。Jackery・Ankerの比較記事で確認できます)。持ち上げる人・階段の上り下りを想定して選びます。
- 置き場所:湿気・高温・可燃物を避け、停電時にすぐ取り出せる場所へ。保管の詳細は保管と点検の記事へ。
- 再充電:停電中に再充電できる手段(車のシガーソケット、ソーラーパネルなど)は、製品ごとに対応が異なります。購入前に、公式仕様で確認します。
一人暮らし:300〜500Whから考える
スマートフォン、LED照明、短時間のルーターだけなら300Wh前後、ルーターを半日以上維持し、ノートパソコンも使うなら500Wh帯が目安です。冷蔵庫を24時間守る目的では不足します。
一人暮らしでは、容量よりも運びやすさと置き場所が重要です。玄関や避難経路をふさがず、高温多湿と水濡れを避けられる場所を決めます。スマートフォンだけなら、ポータブル電源ではなく大容量モバイルバッテリーとLEDランタンで足りる場合もあります。
夫婦・2人世帯:500〜1,000Wh
スマートフォン2台、ルーター20W、照明10W、テレビを短時間使うなら500Wh帯が候補です。在宅勤務、テレビ、扇風機も一日使うなら1,000Wh帯に余裕を持たせます。
同じ2人世帯でも、昼間に不在か、在宅勤務かで必要量は変わります。人数だけで決めず、W×時間を機器ごとに計算してください。
4人家族:1,000Whを基準に冷蔵庫で2,000Whへ
スマートフォン4台、ルーター、照明、テレビを一日守るなら1,000Wh帯が基準です。冷蔵庫を24時間加えると利用可能容量の大半を使うため、通信と照明も同時に守るなら2,000Wh帯を検討します。
家族が自由に家電をつなぐと残量が早く減ります。残量50%でテレビを止め、30%で通信と照明だけにするなど、切り替え基準を紙に残してください。
乳幼児がいる家庭の電力配分
ミルク、照明、連絡、室温管理を優先します。電気ケトルは消費電力が大きいため、カセットコンロなど電気を使わない加熱手段も準備します。夏の家庭用エアコンを小型電源で長時間動かす前提にはせず、危険な暑さになる前の避難先を決めます。
粉ミルク、飲料水、おむつ、衛生用品などは電源とは別に備蓄します。ポータブル電源があっても断水や通信障害は解決できません。
高齢者・介護が必要な家庭
医療・介護機器は、機器メーカー、医療機関、ケアマネジャー、自治体へ停電時の対応を事前に確認します。ポータブル電源だけに頼らず、予備バッテリー、避難先、連絡手順を決めます。
本体を持ち上げられるか、表示やボタンを操作できるかも重要です。大容量ほど安心でも、移動できなければ使えません。家族や支援者が不在のときの手順を紙に残してください。
ペットがいる家庭
給水器、循環ポンプ、ヒーター、送風機など必要機器のW数と時間を計算します。家庭用エアコンは大きな容量と出力が必要で、長期停電をポータブル電源だけで乗り切る計画は危険です。ペット同伴可能な避難先や預け先も確認します。
在宅勤務世帯
ノートパソコン45W、ルーター20W、ONU10Wを8時間使うと600Wh、変換ロス込みで750Wh以上が目安です。外部モニターや照明を加えるなら1,000Wh帯へ余裕を持たせます。デスクトップPCと複数モニターは2,000Whを超える場合があり、停電時はノートPCへ切り替えるほうが現実的です。
家族で行う容量計算
- 止められない機器を書く。
- 消費電力Wと使用時間hを確認する。
- W×hを合計する。
- 合計Whを0.8で割る。
- 同時使用Wが定格出力内か確認する。
計算結果が境目なら一段上を検討しますが、重さ、価格、保管場所も確認します。容量不足は使う時間を減らし、電気を使わない備えで補えます。
購入後の家族テスト
- 使う家電を一台ずつ接続する。
- 1時間の消費量を記録する。
- ケーブルへ用途ラベルを付ける。
- 子どもが触れない安全な場所へ置く。
- 異臭、膨張、異常発熱があれば使用を止める。
年に一度、家族構成、在宅時間、家電、医療・介護の変化に合わせて計算をやり直してください。
停電時間別の世帯運用
3時間まで
家族全員の安否、停電範囲、復旧見込みを確認し、スマートフォンと照明を優先します。冷蔵庫は開けず、高出力家電は使いません。
半日
ルーター、照明、スマートフォンの必要量を再計算し、テレビとパソコンは時間を区切ります。乳幼児、高齢者、ペットの室温と体調を確認します。
24時間以上
冷蔵庫を守るか、通信を守るかを決め直します。給電拠点、避難所、親族宅など外部の選択肢を確認し、危険な暑さや寒さ、断水があれば電源の残量に関係なく移動します。
容量と重さの折り合い
500Wh帯は5kg前後、1,000Wh帯は約11kg、2,000Wh帯は約18kgになる機種があります。階段、段差、収納場所からの距離を考え、実際に家族が運べるか確認します。
一台の大容量機を動かせない場合は、用途を分けた小型機やモバイルバッテリーとの組み合わせも検討できます。ただし、自己流の並列接続はせず、各機器を別々の用途で使います。
予算が足りないときの優先順位
容量を下げる前に、止められない機器を決めます。スマートフォンと照明だけならモバイルバッテリー、通信も必要なら500Wh帯、在宅勤務や家族のテレビまでなら1,000Wh帯、冷蔵庫を一日守るなら2,000Wh帯が目安です。
大容量を無理に買うより、飲料水、非常食、簡易トイレ、カセットコンロ、乾電池式ラジオもそろえます。停電対策は電源だけで完成しません。
家族用停電シートに書く内容
- 電源とケーブルの保管場所
- 最初に動かす機器と優先順位
- 残量50%・30%で止める機器
- 医療・介護・ペットの連絡先
- 避難先と集合方法
- 電力会社、自治体、管理会社の連絡先
紙を本体の近くへ置き、スマートフォンが使えなくても確認できるようにします。
季節で変える容量配分
夏は扇風機、通信、飲料水を優先し、家庭用エアコンを小型電源で長時間動かす前提にはしません。冬は電気ストーブやケトルを避け、防寒着、毛布、寝袋、カイロを先に備えます。
寒冷地では低温がバッテリー性能に影響します。メーカーの使用・充電温度を確認し、屋外や冷え切った車内へ放置しません。
世帯人数より生活条件で決める
4人家族でも昼間に不在で通信と照明だけなら1,000Wh未満で足りる場合があります。一人暮らしでも在宅勤務と冷蔵庫を守るなら1,000Wh以上が必要です。人数はスマートフォン台数の目安にはなりますが、必要容量を決める主因ではありません。
最終的には、機器、W数、時間、変換ロス、同時使用W、運べる重さの順に確認してください。
医療・介護機器がある家庭の確認事項
機器の定格消費電力だけで必要容量を決めず、起動時電力、連続運転時間、停電時の内蔵バッテリー、使用できる電源の条件をメーカーへ確認します。ポータブル電源の波形や切り替え時間が適合するかも必要です。
医療機関や自治体へ、停電時の連絡先、予備バッテリー、避難先、給電支援を確認します。緊急性がある機器は、家庭用ポータブル電源一台だけを唯一の電源にしません。
集合住宅での注意
停電でエレベーター、給水ポンプ、オートロック、機械式駐車場が止まる場合があります。管理会社へ停電時の動作と復旧方法を確認します。重い電源を階段で運ぶ計画は危険です。
携帯発電機は屋内、車内、テント内で絶対に使いません。ベランダも排気が室内や隣家へ流れる危険があり、避難経路や管理規約の問題があります。安全な屋外設置場所を確保できない場合は使用しないでください。
年1回の見直し項目
- 家族人数と在宅時間
- 乳幼児、高齢者、介護、医療の変化
- ペットと温度管理
- 仕事用機器と通信
- 冷蔵庫など家電の買い替え
- 電源の残量、外観、ケーブル
- 避難先と連絡先
停電訓練で一時間使い、残量の減り方を記録すると、自宅の実測値で計画を修正できます。
Q. 2,000Whを買えば家族全員安心ですか?
容量に余裕はありますが、すべての問題は解決しません。定格出力、重さ、保管場所、再充電、断水、通信障害、避難も確認します。使う家電を制限しなければ2,000Whでも減ります。
Q. 家族ごとにモバイルバッテリーを持つべきですか?
スマートフォン用を分散すると、一台の電源へ集中するのを防げます。定期的に残量を点検し、機内持ち込みなど利用場所のルールも確認してください。
最終早見:どの容量帯から比べるか
300〜500Wh:一人暮らし、スマートフォン、LED照明、短時間のルーターが中心。冷蔵庫や一日勤務には不足します。
500〜1,000Wh:夫婦、半日の在宅勤務、通信とテレビを使う家庭。使う時間を管理すれば一日分へ対応できます。
1,000Wh帯:4人家族の通信・照明・テレビ、ノートPCを一日守る基準。冷蔵庫を24時間加えると余裕が小さくなります。
2,000Wh帯:冷蔵庫と通信・照明を同時に一日守る家庭。重さと価格、置き場所を確認します。
これは人数だけで決める表ではありません。自宅のW×時間を計算し、表示容量の80%を使える前提で必要量を求めます。実際の時間は気温、機器、変換ロスで変わるため、余裕を残してください。
Q. 容量を迷ったら大きいほうを買うべきですか?
必要量を満たし、運べて安全に置ける範囲で余裕を持たせます。大きすぎる機種は重く、点検や移動が負担です。守る機器と時間を先に決めてください。
よくある質問
Q. 4人家族なら何Whが必要ですか?
人数ではなく、機器と時間で決まります。通信と照明を半日という条件なら約460Whが目安で、500Wh帯が候補です。冷蔵庫を含めて1日なら、2,000Wh帯が候補になります。
Q. 一人暮らしは、ポータブル電源は不要ですか?
スマートフォンと照明だけなら、モバイルバッテリーと電池式ランタンで足りる場合もあります。通信(Wi-Fi)や在宅勤務を維持したい場合は、500〜1,000Wh帯が検討範囲です。
Q. ペットのために冷房を動かせますか?
冷房は消費電力が大きく、ポータブル電源の容量・出力を大きく消費します。基本は、自治体の案内や涼しい場所への移動を含めて、別の対策を優先してください。
Q. ソーラーパネルがあれば容量を小さくできますか?
天候、季節、方角、設置場所で発電量が変わるため、毎日必要量を充電できる前提にはしません。長期停電の補助的な再充電手段として考え、対応入力W数と接続条件を公式仕様で確認してください。賃貸では避難経路と管理規約も確認し、強風や雨の中で無理に設置しないでください。発電中も本体の残量と天候を定期的に確認し、異常な発熱や異臭があれば使用と充電を直ちに中止し、メーカーの公式窓口へ相談し、安全が確認できるまで再使用しないでください。
関連記事
出典(確認日:2026年10月21日)
- 内閣府 防災情報のページ「自然災害への備えは万全ですか?チェックしてみよう!」 https://www.bousai.go.jp/kyoiku/hokenkyousai/check.html
表の数値は、消費電力の目安をもとにした当サイト編集部の計算例です。実際の機器の消費電力に置き換えて計算してください。